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正社員を講師として雇っている塾を選ぶこと

塾の講師の待遇や条件を見ると、正社員として雇っているところと、非常勤、つまり、アルバイトとして雇っているところがあります。もちろん、両方募集しているところもあります。ご存じとは思いますが、正社員と非常勤講師では、全然待遇が違います。

正社員の場合、最低でも月14万円程度の給与は出ています。14万円は私が聞いたことのある最低の月給です。普通、少人数制の塾で、月18万円から20万円ぐらいです。中には30万円ぐらい出すところもあるでしょうが、1クラス6人以下の少人数制の塾では難しいです。

大体、個別指導の塾では、講師全員を正社員として雇うのは無理です。正社員は、せいぜい教室長だけになります。教室長の給与は月25万円前後が一般的です。つまり、年収300万円ぐらいですね。

これで大体人材のレベルがわかると思いますが、優秀な人を正社員として雇うのは無理です。生活できなくはないですが、かなり厳しいですね。これでは永久に独身生活です。私の知り合いで塾の正社員講師をやっている人がいますが、車も買えないみたいです。

ちなみに最近多い個別指導塾のバイト講師の時給ですが、1000円から1200円ほどです。実際には、個別指導と言っても、数人に自習させて、講師が見て回っているという形式なので、経営的には少人数制と同じなのですが、給与はこの程度です。

講義形式の少人数制の塾で教える非常勤講師と言う名のバイト講師は、時給1500円~2000円ぐらいが一般的です。講義形式で教えるには、それなりの資質が必要なので、ちょっと高めになりますが、個別指導だろうと、講義形式の少人数制の塾だろうと、その収入で生活はできません。当然、担当コマ数によりますが、どちらの場合も、月当たりにもらっている金額は、1万5千円ぐらいから3万円ぐらいが多いです。

英会話スクールでも非常勤講師の収入はそんなものです。ECCの講師に月にいくらもらっているのか聞いたことがありますが、その人の場合、2万4千円だと言っていました。どう考えても生活できませんね。

給与というのは、大変重要な要素です。名古屋造形大学に週1回の割合で非常勤講師として英語を教えに行った某大学の教授は、月給が8千円だったそうで、その給料をもらったら、その場でやめたという話を聞いたことがあります。全く大学も侮れません(笑)。

私も昔、稲沢女子短期大学(現在の愛知文教女子短期大学)に勤めていたことがありますが、手取り17万円ちょっとぐらいでした。たぶん、税金などを引かれる前は21万円ぐらいだったと思います。同期の50代後半の先生にいくらもらっているのか聞かれたので、そう答えたら、同じぐらいだと言って、大変憤慨されていました。確かに、こんな給料の安い大学で教えたいなどと普通は思いませんね。

しかも、週に10コマも教えさせられていました。これは、標準的な大学の2倍に相当します。30万円の賞与を足して、時給換算すると、授業だけなら、6300円弱です。この金額でも、とんでもなく安いのです。しかし、一日8時間以上縛られた上に、他県へ数日間の出張、入試の仕事、学生募集の仕事までやらされましたので、よく計算すると、なんと、時給1120円を割っています。これでは逃げ出したくもなりますね。実際、就任早々、逃げ出すことを考える先生方が多かったです。もちろん、今どうかということは、知りません。

こうして見ていくと、塾の講師の待遇がいかに悪いのかよく分かると思います。普通に逃げ出したくなるレベルの給与しかもらっていません。一般のサラリーマン並みの給与をもらうには、大手予備校など、大人数制の塾で働くしかありません。しかし、それでは教育効果がすっかり落ちてしまうので、生徒としては入りたくないでしょう。

要は、少人数制や個別指導では教育効果がフルに出せると期待できるが、待遇が悪いので、優秀な先生は集まらず、「フル」のレベルが低い。大人数制の塾では、ある程度優秀な先生が集まるが、教育効果が期待できないということになります。どっちにしても効果はないのですが、あくまでも期待される効果という話です。

しかも、勤務条件が厳しいです。大手英会話スクールでは、例えば、イーオンの場合、正社員の講師(イーオンでは専任講師と呼ばれている)は、午前11時から午後11時まで勤務していると聞いています。教室の隣に住んでいるのならともかく、これはかなりきついです。夜11時に教室を出て、家にたどり着くと、夜中の1時。それから食事を取ったり、お風呂に入って、翌日の授業の準備をすると、午前4時過ぎになることが多いと聞いたことがあります。そして朝11時に出社するために、午前7時や8時に起床するわけです。普通に死にますね。それで月給21万円ほど。

知り合いの塾講師は、夜10:30頃まで授業をやっています。朝は12時頃に出社らしいです。これもずいぶんきついですね。しかも、日曜日も出勤させられているそうです。それも無給で。

こういう勤務条件と給与であるため、大抵の塾の講師は、逃げ出せたら逃げ出したいと思っているのではないかと思います。しかし、逃げると言っても、どこに逃げるかという問題があるので、そこにいるしかないのが現実です。実際、本当に優秀な人だと、国家公務員上級試験を受けて、さっさと逃げると思いますが、そこまで優秀な人は滅多にいません。

いずれにせよ、これが現実だと言うことをふまえて、採用情報をチェックして、講師の給与、勤務条件を調べることは大変有意義です。たぶん、まともな収入を得ているのは、流行っている個人塾の経営者だけだろうと思います。しかし、その場合だと、厳密な経歴のチェックがさらに重要になります。