体験レッスンをやっていると、体験レッスンを受けに来た人から変わったことを聞かれることがあります。先日も、「先生は長年海外で英語の研鑽(けんさん)を積まれた方ですか?」と聞かれました。正直に言って、こういうのは、ちょっと答えたくなくなるような質問です。もしお時間があれば、できるだけソフィア外語学院のホームページやこのブログの自己紹介記事をあらかじめ読んでから、体験レッスンに来て頂けると、とてもうれしいです。
しかし、答えたくなくなるような質問というのは、実際、あるものです。東京外国語大学英米科の学生時代に家庭教師に行った先で受けた以下の質問もそういう類の質問です。
「先生は、英検3級ぐらいは取っていらっしゃいますか?」
昔のことですから、仕方がないかもしれません。英検3級というのは、中学3年生レベルの英語力があるかどうかを調べる英語の検定試験です。プロ野球の選手に、「先生はキャッチボールぐらいはできますか?」と聞いているようなもので、普通、こういう質問には誰も答えないでしょう。私もちょっと驚いてしまって答えませんでした。ちなみに、このとき家庭教師に行った先は、テレビによく出るタレントさんのお宅でした。
英検やTOEICなど、いろいろな英語検定試験があります。最近では、ほとんどのみなさんがこういう英語の検定試験についてご存じのようです。しかし、英語の専門家は、あまりそう言うテストを信用していません。英検が何級だとかTOEICで何点とか言うので、英語力がわかるとは誰も思っていません。
海外経験もそうです。何年留学したかで英語力がわかると思っている英語の専門家はいないでしょう。英語圏での滞在年数だけである程度英語力が推測できるのは、9歳以前から3年以上英語圏に滞在している場合だけです。10歳前後以降に英語圏に滞在した場合、長年滞在していても、全然英語ができない場合が少なくありません。だから、留学の年数なんて、参考程度にしかならないのです。
私の個人的な見解ですが、海外経験が全くなく、英検やTOEICも受けていない人で、英語ができる人が一番優れた英語力を持っていそうだと予測します。私たち英語の専門家は、海外に英語のできない日本人がたくさん来ていることや、英検1級や準1級、TOEIC900点以上で英語のできない人をたくさん見ています。その一方で、海外に行ったことがないのに、英語を流ちょうに話す人をたくさん知っています。同じく、TOEICが800点以下で英語を流ちょうに話す人をたくさん知っています。そう言うことをよく知っている英語の専門家に海外経験のこととか、英検のこととか、TOEICのことなど聞かない方がいいと思います。
私の場合、英検の問題は仕事上見たことはありますが、興味がないので、一度も受けたことはありません。TOEICは、私が学生の頃、実施されるようになったテストですが、こちらは受けたことがあります。最初は、ETSが作ったテストということで興味を持って受けました。得点は大して高くはなく、780点ぐらいでした。
この得点を大学の先生に報告したら、あまりにも低いので驚いていました。当時はTOEICが始まったばかりで低いかどうかも、私にはわからなかったのですが、私が当時よく話をしていた米国人の言語学の先生によると、私なら最低でも900点以上にはなるはずなのだそうです。当時は自分に問題があるのかと思いましたが、それは間違いでした。言語測定学というテストの専門的な研究の立場から言うと、TOEICの測定精度なんて、その程度のものだと考えるのが正しいです。
ソフィア外語学院では、全国の教育機関に先駆け、1992年よりTOEICを実施しています。最初の頃、私も生徒と机を並べて受けていましたが、その頃には920点~970点ぐらいを取るようになっていました。TOEICは、あまりにも単純な問題が多く、解いていると、すぐに飽きてしまうので、飲み物を飲みながら、のんびり解いていました。得点は、生徒の得点と一緒に教室内に掲示していた時期もありましたが、そのうち、すっかり馬鹿馬鹿しくなって、12年ぐらい前からTOEICを受けるのをやめてしまいました。
同じETSの英語テストにTOEICに似たテストにTOEFLと言うのがあり、こちらの方が古くて、権威もあるのですが、TOEFLは、最初に受けたときは私は613点でした。これは留学の際の大学の入学試験として使われているのですが、留学の際に必要だというので、東京まで新幹線で行って、飛び入りで受けさせてもらいました。留学が終わって帰国した際に、試しに再度受けてみましたが、その時は、600点に下がっていました。
留学が終わって1年ぐらい経過してからまたTOEFLを受けたら、今度は630点に上がっていました。と言うことは、留学すると、TOEFLの得点は下がり、留学をやめると、得点が上がるということです。TOEFLなんてその程度のものですし、また、留学なんてその程度のものです。
ソフィア外語学院の講師採用試験もかつてはTOEFLの練習問題を利用して実施していたことがあります。しかし、TOEICやTOEFLが有名になって、たくさんの人が事前に練習を積むようになって、テストの意味がなくなってしまいました。つまり、得点と英語力が一致しなくなってしまいました。それで、私がTOEICを受けるのをやめたのと同じ時期に講師の採用試験もTOEFLを利用するのはやめてしまいました。もう永久にTOEFLを採用試験に使うことはないでしょう。TOEICなんて論外です。
念のために書いておくと、私はTOEFLやTOEICのために準備の勉強をすると言うことはほとんどしたことがありません。どういう問題が出るのか少し目を通したことがあると言う程度のことです。テストのために勉強をすることほど馬鹿馬鹿しいことはありませんので、そう言う勉強はしない主義です。
TOEICやTOEFLがだめだというのは、料理のうまい下手をインスタント・ラーメンの作り方のうまい下手で判断するようなものだからです。TOEICでもTOEFLでもそうですが、あの様なテストができたからと言って、英語の小説が読めるかどうかはわかりません。英語のニュースが聞き取れるかどうかもわかりません。ましてや、シェークスピアやチョーサーが読めるかどうかなんて見当もつきません。そもそも、準備して対策をしてしまった後のテストの結果なんて、何も意味がありません。日本では私が一番TOEICの指導経験が長い英語教師であるらしいので、このことはよく念頭に置いてほしいものです。
生徒には今でもTOEICを受けてもらっていますが、あくまでも参考データです。一番確かな結果は、ソフィア外語学院の独自のテストの結果だと私たちは考えています。データは多い方が参考になるので、TOEICは続けますが、私がTOEIC真理教の信者だと思ったら、大間違いです。
ちなみに、英検に関心がないのは、言語測定学について何も知らないような素人の英語の先生が作った様に見える問題で、しかも、そもそも、標準化もろくに行われていない様に見えるので、私は興味を抱くことなく、全然受けなかったのですが、今更、馬鹿馬鹿しくて関心も持てなくなっています。
あまりこういうことを書くと、関係者様各位から怒られるので、念のために書いておくと、英検もTOEICもTOEFLも結構ですが、できるだけ誰も知らない様なテストで有効性の高いテストを同時に実施した方がいいと言うのが私の主張です。英検やTOEICやTOEFLは、受験資格の目安ぐらい使っておくのがいいでしょう。例えば、ソフィア外語学院では「英検準1級またはTOEIC700点以上または同等の英語力の方」などという言い方で講師の募集をしていますが、これはかなり有効です。おかげで初歩レベルの英語もおぼつかない様な人は最初から排除できるので、試験をする手間が省けます。そうでないと、英検2級レベルの人が英語の講師になれるのではないかと思って応募してきますから、困ります。
テストと言うことでは、大学受験の時に受けた、模試の結果があります。私は、英語が最高で全国6位になり、賞をもらったことがありますが、愛知県内1位は何度もあったと記憶しています。偏差値としては、いつも70~87ぐらいでした。平均すると、75ぐらいです。グラフを描いたり、統計を取るのが好きな子どもだったので、そういうのは、よく覚えています。
それにしても、英語全国6位の人に「英検3級ぐらいですか?」は、ないですよね。